■インターンシップ体験記 (2)■

私が在籍していたソーシャル・ワーク修士課程では、最初に履修しなければならない基礎課程のクラス(「ソーシャル・ワーク概論」、「臨床ソーシャル・ワーク概論」、「地域行政ソーシャル・ワーク概論」、そして「社会環境の人の行動」など)があり、それらを修了するとインターンシップを始めることができます。これら理論の知識が実習での基礎となるため、基礎のクラス履修が先なのです。

修士で必要とされている実習時間は、ソーシャル・ワークで学士号(BSW)を持っていない場合は合計900時間、持っている場合は合計500時間です。(しかし、これは州によって異なるようで、ここで紹介しているのはテキサス州の例です。)私は前者に当たるので、まず400時間を1つのところでインターンをし、残りの500時間を他のところでインターンをしなければなりませんでした。最初の400時間のインターンシップは、「子ども虐待介入のためのエージェンシー」そして「フォスター・ケア(被虐待児を里親に預けるエージェンシー)」、次の500時間のインターンシップは難民救済のエージェンシーで実習をしました。

400時間のインターンはソーシャル・ワークを「浅く広く」知るための実習と考えられていて、自分の希望などはあまり聞き入れられず、むしろ自分の興味のない分野に配属されます。500時間の実習はもっと「狭く深い」ようで、自分の興味のある分野でもっと切り込んだ専門的な実習をすることになります。

ソーシャル・ワーク学部には「フィールド・オフィス」という部署があります。ちなみにフィールド(実践の場)はインターンシップを指します。教室ではなく、「実地」に出るということからそう呼ばれているのでしょう。そしてそのオフィスは、学生と配属されるエージェンシーをつなぐ役割をしています。実習が始まる前の学期から申し込みが始まるのですが、生徒の希望(どういったところでインターンをしたいかなど)を聞き入れて、エージェンシーを紹介してくれます。紹介されたエージェンシーに自分で連絡を取り、実習をさせてもらえるか契約をしなければなりません。

エージェンシーのソーシャル・ワーカーに連絡を取り、インタビューのアポイントメントを取ります。たいていの場合、自分のスーパーバイザーとなる人が、面接をすることになります。面接は、仕事のインタビューと同じと考えていいでしょう。なぜそのエージェンシーを選んだのか。インターンシップからどんなことを学びたいのか。どんなソーシャル・ワーカーになりたいのか。そういった質問をされ、こちらからエージェンシーやそのソーシャル・ワーカーがどんな仕事をしているのか、質問する機会も与えられます。

修士レベルのインターン生を受け入れるためには、スーパーバイザーもソーシャル・ワークで修士号(LMSW)以上の資格を持っていなければなりません。私のスーパーバイザーも修士レベルのソーシャル・ワーカーでした。最初のインターン先(児童保護とフォスター・ケア)のスーパーバイザーは、臨床の分野を中心にしていて、虐待をした(または、受けた子どもの)親、そして被虐待児への調査(スクリーニングという)やカウンセリングを行っていました。次のインターン先のスーパーバイザーは、難民受け入れの管理、ケース・マネージメントの監督を行っていました。

インターンシップはボランティアなどといった慈善活動とは異なります。インターン生は、スーパーバイザーや他の職員とは同等の立場ではなく、言ってみれば、教師と生徒。エージェンシーに入り、ソーシャル・ワークがどのように行われているか、ソーシャル・ワーカーがどのように働いているのか・・・そういったものを学ぶ「学習の場」なのです。週に1時間、スーパーバイザーとスーパービジョン(実習指導)の時間があります。1対1のその時間には、実習のことや、ソーシャル・ワークのことなどさまざまなことを話し合います。スーパービジョンもまた、学習の場となります。

インターンシップは、歯車のように、理論と実践を噛み合わせる役割を果たします。