■児童虐待リスク・アセスメント■
リスク・アセスメントは、児童虐待の疑いのあるケースの調査に使われる「危機評価」です。テキサス州で使われているリスク・アセスメントを紹介します。こちらをご覧ください。
このリスク・アセスメントは被虐待児に対してではなく、虐待者を対象にして行われます。ですから、名前の部分には、虐待者の名が記入されます。各家族に1つのリスク・アセスメントが行われるので、例えば虐待者が、実子2人を虐待している場合も、この1つのリスク・アセスメントに全て情報が載せられます。また、いずれかの項目に「はい」と回答された場合、かならず説明を明記しなければならないことになっています。7項目それぞれにたくさんの質問事項があり、それぞれについて調査が行われます。(合計で70から80問。)調査の段階で、子供・親当人からだけでなく、その家族を取り囲む人たち(例えば、子供に接する機会のある人たち。学校の先生や医師など)にも聞き込みがなされます。
「合計で何問YESであったから、虐待」といったQuantitative(量的)な評価はされず、「どれだけ重度か?」かといったQualitative(質的)な判断がなされます。虐待があると認められた場合は、法的な処置(親から子供を引き離すなど)がとられます。虐待がないとされた場合にも、家庭環境や家庭を取り巻く環境に虐待のリスクがあると判断された場合は、家庭訪問を行ったり、ピアレンティング(親業)クラスへの出席を薦めるなどして、その家族とコンタクトを取りながら現状の改善を待つなどします。
児童保護局はいろいろなユニットに分かれているそうで、「調査部門」「介入部門(調査を受け、虐待と判断された子供を引き離すユニット)」「事後ケア部門(引き離した子供をフォスター・ケアーに預ける手続きをするユニット)」、「法的部門(フォスター・ケアーにいる子供を、今度は親元に返すか、親戚に預けるか、または養子に出すかなどを決めるユニット)」など、合計で70くらいのユニットに細分化されているそうです。それぞれのユニットには6人から7人のケース・ワーカーが働いていて、一人一人が一ヶ月に15ケースほどを受け持っているという話です。
児童保護局の仕事は身体的にも精神的にも重労働だと聞きます。虐待の場面に遭遇しなければならない、親から子供を引き離さなければならない、引き離した親が逆上して身の危険にさらされる、などケース・ワーカーのバーン・アウト(燃え尽き症候群?)が多いといいます。実際に、児童保護局員の入れ替わりは、時には週単位、長くても1年、2年だというほどです。